ジョイセフ事務局長 鈴木良一によるコラム
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国連新人口推計:2100年の世界人口は112億人へ増加、その時日本人口は8300万人に減少
2015年7月29日国連経済社会局は新しい世界人口推計を発表しました。
依然として、世界人口は増加し続けることとなります。
2050年には約97億人、今世紀末の2100年には約112億人になると推計されています。現在2015年の世界人口が73億人ですから、2100年には、世界人口は現在の約1.53倍に増大します。

世界の人口順位も変わります。
現在第2位のインドが2022年にはトップになり、2100年には16億6000万人へ、中国が2位になり10億400万人へ、そして、ナイジェリア、米国、コンゴ、パキスタン、インドネシア、タンザニア、エチオピア、ニジェールが続きます。10位までにアフリカから5カ国が入ることになります。そして、その時、日本は8300万人で世界第30位となります。

世界人口の高齢化はさらに進展します。
世界の平均寿命は現在のほぼ70.5歳が、2095年~2100年には83.2歳になる見通しで、
日本は、83.3歳から93.7歳に延伸するとしています。
寿命が延びるのは人類の夢のひとつであったと思いますが、単純に年齢が延びることではないと思います。
健康寿命をどのようにして延ばすかということだと思います。

人口推計は多くの課題を私たちに提示しています。
わたしが、特に気になるところは、地球の扶養する力です。
水は、食糧は、石油等エネルギーは大丈夫なのか。
都市化の問題は、環境の問題等はその時までにしっかりと対策がとれるのでしょうか。
多くのことが頭をよぎります。

1974年の世界人口会議の時には、限られた資源と人口増加のバランスが世界中で大きく取り上げられていました。「人口爆発」や「宇宙船地球号」などのキーワードが使われていました。しかし、それ以降、このテーマに触れることが減ってきています。
人類はそれらの課題をすでに解決できたのでしょうか。
心配しているのは私だけではないと思います。
人類の知恵は今までも多くの問題を解決してきましたが、21世紀の最大の課題は、増大する世界人口なのかもしれません。そして、それにどのように対応するのかが、人類に試されているといえます。

一方、日本の人口は相当の勢いで超少子超高齢社会に入っていきます。
ある程度安定した人口が欲しいと思う人も多いと思います。
しかし、その前提条件として、女性の就業、出産や育児環境の抜本的な改善が行われなければ少子化を好転させることは相当難しいと思われます。

日本は世界のマクロの人口増加を見つめながらも、足元では、丁寧な女性支援、出産・子育て支援の家族政策をしっかりと打ち出していかなければならないと思います。
日本のリーダーたちの英知に期待します。

(2015年8月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2015-08-31 16:11 | ニュース
恋人欲しくない37.6%、恋愛が面倒くさい46.2%
政府は2015年版「少子化社会対策白書」を発表しました。これは内閣府が20代と30代の男女を対象に実施した結婚に関する意識調査の結果を紹介したものです。
その中で、未婚で恋人がいない男女に恋人が欲しいかを尋ねたところ、「欲しい」は60.8%、「欲しくない」は37.6%でした。恋愛に消極的な若者が4割弱となっています。
調査は全国の20~39歳の男女7000人を対象に、2014年12月から2015年1月にかけてインターネットと郵送で実施したもので、有効回答率は37.8%でした。
「未婚で恋人がいない」と回答した人の割合は、男女全体で28.8%でした。このうち「恋人が欲しくない」と答えた人を性別でみると、女性39.1%、男性36.2%と女性のほうが高かったようです。また、男女とも収入が低い人ほど恋人を求めていない傾向が表れたと分析されています。「恋人が欲しくない」理由を複数回答で聞いたところ、男女全体で最も多かったのは「恋愛が面倒だから」46.2%で、「自分の趣味に力を入れたい」45.1%、「仕事や勉強に力を入れたい」32.9%と続きました。
紙面のゆるす限り私なりに分析してみたいと思います。まず、恋愛が面倒だと答えた背景には若者のコミュニケーション・スキルが不足し自己開示が苦手あるいは開示したくないという若者が増えていることに原因があるように思います。恋愛や結婚、ともに失敗したくないと思う若者が多いのかもしれません。
趣味や仕事・勉学に集中したいという若者にとって、恋愛はそれらと比較される選択肢のひとつとなっていて、恋愛が選ばれることが減少しているのではないでしょうか。恋愛は相手を必要とするので、自己完結的でなく、精神的、社会的、経済的にも自分にとってメリットとして考えられなくなっている傾向もあります。自分に与えられた時間をどのように使うのか考える際に「計画通りにいかない」恋愛は選択肢から外れてしまうのでしょうか。
少子化の原因は、未婚率の上昇と晩婚化によるものと考えられます。今回の調査はその裏付けとなっていると考えます。人生の選択肢を増やすことが男女共同参画社会の目標であった時代を経ることで、実は、逆説的に、このような少子化の傾向が現れたとも言えるのではないでしょうか。
当然、社会が長年かけて変えてきた若者の恋愛の価値観を逆行させることはもはやできません。むしろその価値観を私たち社会が創ってきた成果として認めたうえで、これからの時代に即した若者の価値観やライフスタイルに合った少子化対策を考えなければならないと考えます。
(2015年8月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2015-08-21 12:00 | ニュース
2015年版世界保健統計発表:格差を埋めるための国際的チャレンジを求める
2015年5月「世界保健統計2015年版」が世界保健機関(WHO)によって発表されました。
これは2013年の保健指標に基づいて報告されています。その中からいくつかのわれわれに関連した統計の特徴を紹介したいと思います。この統計は世界の194カ国に及ぶ1000項目を超える保健指標がまとめられたものです。詳しくはWHOのホームページ(英語版ですが、http://www.who.int/gho/publications/world_health_statistics/2015/en/)を参照してください。

平均寿命:日本は世界一の長寿国、世界最短命国はシエラレオネ
まず平均寿命です。2012年に引き続き日本は2013年も世界最長寿国となりました。男女を合わせた平均寿命は、世界平均が71歳。日本は84歳でした。男女別では、女性は87歳で世界1位、男性は80歳で、サンマリノ(83歳)、シンガポール(81歳)に次いで3位でした。一方、世界で最も短命国はシエラレオネの46歳、レソトが50歳、中央アフリカ51歳とアフリカ諸国が続きます。多くの先進国が平均寿命を80歳に延ばしていて、開発途上国とりわけアフリカ諸国の50歳前後という現実は、地球規模的な「寿命の格差」を表しています。

乳児死亡率、妊産婦死亡率、HIV/エイズ新規感染率
平均寿命が短い国々は、乳児死亡率が高い国々と重なります。現在世界の乳児死亡率の推移は、MDGs(ミレニアム開発目標)の指標ともなっています。1990年の出生1000対90から2013年の46とほぼ半減しています。MDGsでは「3分の2に削減させる」と目標を掲げていましたが、まだ到達しないまでも、妊産婦死亡率よりもよい指標を示しています。これは予防接種率の向上や各国の乳児保健サービスの向上によるものと分析されています。今後は、早産による合併症、肺炎や下痢などの感染症が原因で死亡する乳児への対策やケアが必要です。保健の改善や栄養状態の改善で相当の成果が得られるとしています。

それに比べて妊産婦死亡率は、この間に、半減したと報告されていますが、「75%減」を目標に掲げているMDGsの指標の中では未達成の国々が多いことも判明しました。望まない妊娠や中絶による死亡などは、一見、「保健の課題」と見えますが、実は「ジェンダーの課題」による死亡が多いと考えられています。また自宅や自宅から緊急の時の医療施設までの搬送時に死亡する率も高く、施設の拡充や助産師等の訓練が大きな課題となっています。現在、助産師立ち会いの分娩率が約50%と言われています。まだまだ改善の余地があります。さらに避妊へのアクセスの充実が強く求められます。

HIV/エイズの新規の感染者数は、2001年時点で340万人から、2013年には210万人に減少しました。抗レトロウイルス治療も世界中で進展しており、2015年には低・中所得国で1500万人以上が治療を受けられると報告されています。また、行動変容に関する啓発活動も功を奏していると思われます。これからは、さらに若者への教育や啓発活動が求められます。

トイレの改善が急務
世界のトイレ事情はまだまだ改善されていません。飲料水とあわせて衛生的なトイレの普及が世界的に急務となっています。しかしWHOの報告によるといまだに世界では10億人の人々が、トイレもなく、屋外で用を足しており、とりわけ女性にとっては、屋外のトイレに行くこと自体がセクハラや性的暴行の対象となるなどの課題を含んでいます。当然このような状態での野外での排泄は、コレラ、下痢、寄生虫感染など多くの感染症の原因となるなどの公衆衛生上の課題も含んでいます。

このような指標を踏まえて、世界の国々の未解決の課題はいまだに多く、またさらなる人的資源や資金を提供していかなければならないと思います。

富める者や富める国と貧しい者や貧しい国の格差を縮めてこそ、真の国際平和や共存共栄が成り立つのではないでしょうか。とりわけ女性や子どもの命を守るための地球規模での格差是正のチャレンジがさらに求められます。そのために日本が果たす役割も大きく、技術面や資金面でも、世界から多くの支援が求められています。さらには、これらの分野における公衆衛生の多くの知見を持った国としてのリーダーシップへの期待も国際的に大きなものがあります。

(2015年8月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2015-08-20 11:31 | ニュース


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