ジョイセフ事務局長 鈴木良一によるコラム
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続く人口減少―2014年出生も過去最低:女性の声を聞いてほしい
厚生労働省によって、2014年の人口動態統計の年間推計が発表されました。それによると、2014年は死亡数が出生数を26万8千人上回り、8年連続の人口の自然減となったことがわかりました。減少数が2013年よりも約2万9千人増えて、動態統計をとり始めて(1899年)以来最大となったとのことです。

また、2014年に生まれた赤ちゃんの数は、2013年より2万9千人少ない100万1千人と、過去最少となりました。

厚生労働省では、出産可能年齢の女性が減少しているので、今後も出生数は減少するのではないかと推計しています。

死亡数は、前年比1千人増の126万9千人。婚姻件数は1万2千組減の64万9千組、離婚数は、同9千組減の22万2千組でした。

この傾向は、今後も続くと思われます。

一方で、私たちは、あまりにも人口減少のみにとらわれた議論が多いことに、懸念を持つものです。女性が子どもを産まない、あるいは産めない理由があることにもっと注意を傾けて、環境の整備をさらに充実させることが必要ではないかと思います。

女性の出産に関する意識調査では、常に現実の子供数より理想の子供数が多いのです。女性にやさしい、出産や子育てにやさしい、産休・育休、保育、福祉、教育など、さらなる施策やサービスの拡充が望まれるのではないでしょうか。

そして、女性の声にしっかりと耳を傾ける施策を望みます。


(2015年1月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2015-01-22 11:02
世界のトイレ事情:いまだに10億人が屋外で排せつ
みなさんはご存知でしたでしょうか、11月19日が「世界トイレデー」(World Toilet Day)であることを。この日は、国連総会でトイレに関する啓発を目的とした日として定められたものです。

国連の発表によると、世界人口の約35%にあたる、約25億人が適切なトイレが使用できないで、その内の約10億人が、野原や茂み、あるいは川の中など屋外で大便も小便も済ませているという報告です。

赤痢などの感染症患者によって排出された便も、感染源になる可能性があります。近年その蔓延が恐れられているエボラ出血熱をはじめとする新興感染症なども、このような衛生状態では防ぎきれないかもしれません。

人口数でみると、屋外で排せつしている人口数はインドが最も多く、総人口の47%で約5億9700万人、2番目がインドシアで人口の21%で5400万人、次いで、ナイジェリアが22%の3900万人、エチオピアが36%の3400万人と報告されています。

WHOやユニセフなどの推計によると、1990年~2012年までの22年間で、屋外での排せつ率は34%から17%に半減したと報告されていますが、上述のような現実的な数値を見るとまだまだ喜べない状況であると言わざるを得ません。

さらに、女子や女性も屋外で排せつを余儀なくされている場合、排せつに向かう時やまさに排泄中の無防備なところで嫌がらせや強姦に合うなどの事件となるケースも多くあると報告されています。全世界で女性の3人に1人が安全なトイレを使えないと言われています。これは衛生上の問題だけでなく、ジェンダーの問題も含んでいます。地域によっては、このようなトイレ事情が女子の通学に負の影響を与えているといも言われています。プライバシーの保てるトイレがないので、学校に行けない、行きたくない、ということにもつながるのです。思春期になると月経のケアの問題もあります。

今や日本のトイレ事情や設備は、世界に冠たるものとなっています。ウォシュレットの普及で、日本のトイレは、国際的に有名になっていますが、一歩アフリカやアジアの農村地域に足を踏み入れると、全く違う世界が広がっているのです。

パン・ギムン国連事務総長は、「衛生施設が改善されれば、健康と安全を得られる女性と女児は12億5000万人に上り、女児が通学を続けることにもなることが証明されている」と述べています。

ジョイセフでは、寄生虫予防とトイレ建設を、かつて推進してきた経験も生かしながら今後も、生活改善やジェンダーの視点から、地域参加をさらに奨励し、トイレのさらなる普及を促していきたいと思います。

(2015年1月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2015-01-19 18:49
エボラ出血熱の影響を受ける妊産婦の生命
エボラ出血熱の蔓延の報道が多く取り上げられています。エボラ出血熱は、現在のところ、特効薬がなく、予防・治療とも対策の進捗がかんばしくありません。
エボラ出血熱は、ある特定の地域の感染症から、世界的な広がりを持つパンデミック(世界的流行病)としてWHOは宣言しています。

西アフリカのリベリア、シエラレオネ、ギニアの3カ国をはじめとして、ナイジェリア、コンゴ、マリ等へ広まり、あわせて、国際的に移動する人々が他の地域や国々にエボラを拡散するのではないかと心配されています。

私たちは、エボラ出血熱の蔓延により、多くの医療従事者が感染し、また、医療施設が使えなくなり、通常の医療ケア活動が行われなくなっていることに注目しなければなりません。実は、国連人口基金は、エボラの影響で、今後1年間に、少なくとも西アフリカの3カ国では、約80万人が妊娠・出産に至り、産科ケアを受けられない妊産婦が12万人に上るであろうという推計を、2014年11月21日に発表しています。

3カ国は、医師や看護師、助産師等の医療従事者が少なく、医療システムが脆弱で、それでなくとも、産科ケアも含めての業務が十分できていないところに、エボラの影響が重なり二重苦の状況になっています。また、一旦エボラ出血熱が発生し、患者が運び込まれると、地域の人々が医療施設に近寄らなくなるという現象も起こっていて、医療そのものの信頼性が減速しています。あわせて、現状ではエボラの対策は患者の「隔離」が中心であり、回復も難しいと言うのが、アフリカ地域では現状と言わざるを得ません。

そのためにもエボラ出血熱の早急な対策や、それと合わせて、妊産婦の命を守る支援がさらに緊急に求められます。このようなときにこそ、国連をはじめ各国政府、NGOは連携して、妊産婦の命を守る活動にさらに積極的に取り組まなければならないと考えます。

今こそ、エボラ出血熱により機能不全に陥っている医療施設や医療従事者への支援が強く求められています。

(2015年1月 東京にて)
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by joicfp_rio | 2015-01-08 17:44
2015年のチャンス&チャレンジ


MDGsからSDGsへ

2015年(平成27年)は、ジョイセフの関連でいいますと、国内的には、「母子保健法」制定50周年の年にあたります。日本が母子保健に関しての基本法としての母子保健法の意義は大きかったと思います。日本が母子保健大国と呼ばれるようになったのも、日本で、これらの関連法が早い段階で整備されたからであると思います。

国際的にみると、2015年はミレニアム開発目標(MDGs)達成期限の最終年であり、次期開発目標(Sustainable Development Goals : SDGs)が設定されるという重要な年にあたり、記念すべき年にあたります。

ジョイセフはミッションに基づき、国連人口基金などの国連機関や国際家族計画連盟等の国際機関、並びに日本政府、国際協力機構等とも、密な連携協力をとり、2015年も妊産婦の命や健康を守る活動と女性のエンパワーメントを目指した活動を行います。

2001年に193カ国と全国連機関が合意した「ミレニアム開発目標(MDGs)」が始動しました。 MDGsの設定によって国際社会がその達成に向けて統合されたコミットメントをもつことができたことは画期的でした。あれから15年が経過し、どれだけの成果が達成できたのかは、最終年の検証で明らかになります。

その中でも、私たちが特に高い関心を持っているのが、MDGs第5番目のゴール(MDG5)である「妊産婦の健康の改善」の指標です。今なお依然としてアフリカや南アジアなどの開発途上諸国を中心に、2015年までに1990年の妊産婦死亡率を4分の1にするというMDG5の目標値の未達成国が多数あります。2013年には世界で毎日約800人、毎年約28万9000人の女性が妊娠や出産が原因で命を落としているという現実が私たちに突きつけられています(Trends in Maternal Mortality:1990 to 2013, by WHO, UNICEF, UNFPA, World Bank and UN Population Division, 2014)。


若者たちへの投資

また、現在世界人口72億人のうちやく25%が10歳~24歳の18億人の若者たちで、この大きな人口グループに対しての投資が2014年の世界人口白書は訴えています。半分は女性・女子で、多くの課題を抱えています。たとえば、18歳までに3人に一人の毎年3万9000人の少女が結婚(児童婚)を余儀なくされており、早い結婚が、人生の選択肢を狭めていると言われています。健康、教育、将来の可能性が脅かされています。望まない妊娠や頻繁な妊娠、出産間隔短い出産により、人生を犠牲にしていることもあります。また、ジョイセフは、中絶から家族計画への支援も行なっていきます。また、性的暴力の半数は16未満の少女に対するものです。HIV/AIDSでは、10歳~19歳の若者がHIVと共に生きています。HIVの新規感染のおよそ7件に1件は思春期の時に起きています。「若者が思春期から成人と健康な状態で移行できれば、将来の選択肢が広いがります」と白書は提唱しています。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

また、一方では、近年、開発途上国においても疾病構造にも変化が起こっていると言われています。「感染症」から「非感染症」に変化しています。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage : UHC:WHOの定義では、UHCとは、すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要な時に負担可能な費用で享受できる状態)が国際的に必要であることが確認されています。日本はUHCの先駆的な国のひとつとして、そのもつ知見を提供できる国として国際社会から期待されています。


ジョイセフのミッション

ジョイセフは、戦後の母子保健向上のさまざまな経験をもつ日本生まれのNGOとして、半世紀以上の経験や技術等を開発途上国に提供して、草の根の人々と日本をつなぐ役割を果たしてきました。ジョイセフは、また、いつでもどこでも、必要な時に必要な人々に、手ごろな価格で家族計画の手段を手に入れることのできる仕組みづくりを実践してきました。すべての出産が望まれたものであり、また「中絶から避妊へ」の行動変容の拡大や性感染症予防も展開しています。

2015年、ジョイセフは、創立から47年目となるこの年に、新たな気持ちで、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(RH/R)への普遍的アクセスの保障や女性のエンパワーメントを支援、推進すべく、日々チャレンジ(挑戦)してまいります。皆さまのさらなるご支援ご協力をよろしくお願いします。

(2015年1月、東京にて)

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by joicfp_rio | 2015-01-05 16:49


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