ジョイセフ事務局長 鈴木良一によるコラム
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世界の人口問題解決に更なるリーダーシップを -国際人口問題議員懇談会40周年
ジョイセフは1968年の発足当初からアドボカシー(政策提言)を重要な活動の柱においています。その関連で日本の国会議員の人口問題に関する活動にも協力してきました。

今から41年前の1973年に、日本の国会議員一行がアジア4カ国(インド、インドネシア、フィリピン、タイ)の人口事情視察を行い、翌1974年に国際人口問題議員懇談会を発足させました。人口分野での議員懇としては、世界で初めてのものです。事務局は、当初ジョイセフにおかれました。1982年からは、アジア人口・開発協会(APDA)の設立に伴い、APDAが事務局を担って今日に至っています。

日本が世界の人口問題に高い関心を持つようになったのは、国際的には、多くの国々のリーダーたちが地球規模的な課題、とりわけ急増する人口に危機感をもったことが発端です。日本では国会議員がグローバルな視点から人口と開発を考え、先進国としての責務を呼び掛けました。それゆえに、日本は、世界でも屈指の人口と開発に関する理解をもつ先進国となりました。また、それが、政府開発援助(ODA)を通して、人口や家族計画を推進する国連人口基金(UNFPA)や国際家族計画連盟(IPPF)への任意拠出金が増えていくことにもつながったのです。1990年代までは、日本は、人口問題解決のための世界最大の拠出国でした。

しかし、残念ながら、現在、日本政府の任意拠出金額は、UNFPAにおいては第8位、そしてIPPFにおいては第5位となっています。他の西欧諸国がこの分野の拠出を増額しているにもかかわらず、アジアの先進国としての日本の存在は、徐々に薄くなっていると言わざるを得ません。

ODA全体の落ち込みで、人口や家族計画分野の拠出金が連鎖的に減額されていますが、日本の国会議員や政府の人口開発分野での使命感は、変わっていないと信じています。

現在の財政的支援の減少は、一時的なもので、必ずや日本の支援は将来的に反転するであろうことを国際社会は期待しています。今、日本は超少子超高齢化の時代を迎えていますが、国際社会を牽引する主要先進国としての国際的な責務は変わっていません。

世界の人口は、毎年約8000万人ずつ増加しており現在の世界人口は73億人。未だに人口や開発に関わる多くの問題が山積しています。日本の国際社会への貢献を改めて見直し、開発途上国における人間の安全保障、一人ひとりの尊厳、生存、生活に関する支援を惜しむべきではないと思います。人々に届く国際協力は是非強化してほしいものです。

国際人口開発会議(ICPD)から20年、ミレニアム開発目標の見直しの年である来年2015年には開発の新たな枠組み(フレームワーク)が提示されます。日本が立法府・行政府を中心にリプロダクティブ・ヘルス/ライツ分野でも、世界の人々を支援するために、さらなるイニシアティブをとってほしいと願っています。

(2014年10月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2014-10-15 16:39 | ニュース
VIP諸国と日本
最近、人口増加が経済成長を支えている国々、いわゆる「人口ボーナス」の効果を上げている国々に注目が集まっています。東南アジアのベトナム、インドネシア、フィリピンの3カ国も含まれます。それらの国の頭文字(V.I.P)をとって、経済の専門家グループがVIP諸国と呼称しているようです。

総人口が最近1億人を突破したと発表されたフィリピン(2013年時点では9840万人)をはじめとして、日本の人口に追い付き、越える勢いを示しています。国連人口基金の『世界人口白書2013』によれば、2013年年央にベトナムが9170万人、インドネシアが2億4990万人、フィリピンは9840万人でした。これらの国々では、巨大人口の持つ効果が確実に表れているようです。

今世紀の半ばまでに、これらの国々が、経済大国になる可能性が高いと予測する専門家もいます。まさに人口成長と経済成長の相乗効果がもっとも顕著に表れているのです。

条件としては、

1) 教育や技術レベルの高い国民がいること、

2) 政治的に安定していること、

3) 投資先としての信頼を得て国家として信用されていること、

4) 労働力と購買力が備わった市場となっていること、などです。

フィリピンは、それに英語力が付加されていて、ITなどを活用した国際的なビジネス・チャンスが加味されるようです。

逆に、もし、これらの巨大人口を扶養できなかった場合、新たな雇用を生み出すことができない場合などに陥った場合は、人口ボーナスどころか、「人口オーナス(負担)」として、国の成長の足かせになってしまうのは歴然としています。大きな人口、特に若者が失業者となり、社会負担となり、犯罪増加やテロリズムの基礎を形成することなどの負の可能性も考えられるのです。健康で教育を受けられ、新しい雇用が生み出される社会の力となる人口増加は人口ボーナスの効果を表わすものだと考えます。

2013年の世界人口白書から、巨大人口国上位15カ国を、以下、一覧表にまとめてみました。

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一方、日本は、2008年をピークに人口減少が進んでいて、世界的に注目される国になっています。超少子・超高齢化国家としての、日本の今後の展開が他の国々の学びとなると考えます。日本が人口減少社会にどのように挑み、乗り切り、新たな成長やイノベーションを見せてくれるのかが、国際社会から注目されています。

人口数の落ち込みに、単純に不安を抱くのではなく、この現状をどのように乗り切り、「新たな成長モデル」を構築することができるのかが、今、日本に課せられた使命なのではないでしょうか。

よって、人口を1億人程度に維持するという目標を掲げること以上に、日本人一人ひとりの能力、技術力、そして社会的組織力をどれだけ発揮できるかを目指した取り組みが求められるのです。

超少子・超高齢化社会に挑戦し先鞭をつけることで、日本は、国際社会であらたに尊敬される国際的地位を占めるべきではないでしょうか。


(2014年10月、東京にて)


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by joicfp_rio | 2014-10-03 17:00


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