ジョイセフ事務局長 鈴木良一によるコラム
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新たな開発枠組における セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(SRH/R)の継続・強化に向けて
関心事のひとつに、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRH/R)が新たな枠組み(フレームワーク)にどのように扱われるかがあります。

持続可能な開発目標に関する政府間オープンワーキンググループ(OWG)によると、2030年を達成期限とする17の目標と169のターゲットを持つ持続可能な開発目標が、2014年7月に提案され、それが9月の国連総会において、2016年から2030年までの持続可能な開発目標・枠組みとして決定されることになっています。

現在のところ、保健ゴールとしては、「家族計画も含むセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ケアサービス」として、ジェンダーゴールとしては、「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」として、文言が残されることになりそうです。

1994年からすでに20年が経過していても、議論は幾度となく繰り返されており、常に、保守派や宗教的な立場からの抵抗を受けていて、議論がたびたび蒸し返されています。

しかし、女性の人権としての「自己決定権」の視点が揺らいではならないと思っています。

世界的な合意文章に文言を残すことは、その理念と使命を刻むことであり、また、行政的にはそれに対する法律や事業が必要となり、関連予算の確保が保証されるということになります。そのような観点からも、言葉の持つ意味を強く感じています。

引き続きこの議論が2016年の開発枠組の確定まで続きます。まだまだ安心できないとは思いますが、女性の健康や権利を考える人類の英知としてSRH/Rの継続・強化は必須であり、今後も私たちは次世代のためにも努力を重ねていかなければならないと思います。

(2014年9月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2014-09-24 16:22
ミャンマーの総人口5142万人―31年振りの人口センサス(国勢調査)実施
ミャンマーの人口センサスが、31年振りに、2014年3月29日から4月10日に実施されました。その暫定結果が、8月30日に、少数民族居住地域における内戦などの影響で調査できなかった未調査地域の推計人口も加えて、総人口5142万人と発表されました(3月29日時点)。未調査地域を含まない世帯数は、1088万9348世帯と発表されています。

今回のセンサスは、国連人口基金(UNFPA)やオーストラリア、フィンランド、ドイツ、イタリア、ノルウェー、スウェーデン、スイス、そして英国政府等による技術的財政的援助によって実現できました。

結果は、前回、1983年に実施したセンサスをもとに推計された2012年10月時点の6098万人に比べて約1000万人も少ない数字が出たことになります。31年の間に大きな誤差が生じていました。アジア地域の市場として、また、投資のフロンティアとして位置付けられているミャンマーの人口が1000万人異なるということは、多方面に影響を与えるのではないかと考えます。

しかし、これで初めて、ミャンマー連邦は国として、より正確な数字を持つことができたと言えます。人口数はあらゆる数値の基礎となるものであり、このセンサス発表は歓迎すべきことです。

総人口は、5141万9420人で、男性が2482万1176人、女性が2659万8244人、女性人口が178万人、男性人口を上回っています。

ヤンゴンが736万人、マンダレーが615万人、そして、首都のネピドーが116万人となっています。人口密度は1㎢76人、最も人口密度の高いのがヤンゴンで723人、マンダレーが206人、最も低いのが、チン州で13人、カチン州19人と報告されています。また、平均世帯人数は、チン州やカチン州が5.1人、ネピドーが4.1人、平均が4.4人と発表されています。

135の少数民族を抱えたミャンマーは連邦を形成しています。15州・管区(リージョン)で構成され、最小の行政単位であるタウンシップは現在330。一部民族間の紛争問題があり、調査が不十分であった地域もあるようですが、今後2015年5月の最終報告書までに、更に正確な人口が判明するとも説明しています。

歴史的に見てみると、最初のセンサス(英国の植民地としての調査、当時はインドの一部)が1872年で、総人口270万人、その後ほぼ10年毎に実施されていて、抜粋すると、1901年が1050万人、1921年が1320万人、1941年が1680万人、そして、最近2回のセンサスでは、1973年が2890万人、1983年が3530万人でした。そして今回(2014年)が5142万人と推移してきています。

人口センサスは近代国家として重要な基礎データです。日本でも1920年に初めての国勢調査が行われてから、今日まで、国の根幹をなす最も重要なデータとなっています。人口は国民ひとりひとりの集合体であり、すべての国家や地域計画、住民の健康福祉、教育の立案の根幹となる重要な数値です。その意味で、今回のセンサスはミャンマーの将来において重要な歴史的事業であったと思います。今後も定期的に、そして、平和裏にセンサスが実施されること望むものです。


(2014年9月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2014-09-08 11:20
すべての人々に避妊へのアクセスを!
2012年に開催された「ロンドン家族計画サミット」などの国際的なイニシアティブで、すべての人々に避妊へのアクセスが確保できる環境作りを加速するよう、強調されてきています。

しかし、国連人口基金(UNFPA)や国際家族計画連盟(IPPF)は、世界では現在でも、およそ2億2200万人に、近代的避妊法への「満たされないニーズ」があると推計しています(2012年)。避妊をしたいがサービスがないということであり、望まない妊娠の発生や結果としての安全でない人工妊娠中絶増加の可能性があることを示しています。とりわけ現在、青少年世代の人口が過去最大であることを踏まえると、この課題はさらに深刻です。

日本の場合、2012年の人工妊娠中絶数が19万6639件。その内20歳未満の中絶数が2万659件で全体の10.5%となっています。日本においても、いまだに包括的な性教育と情報および避妊手段の提供が十分に行なわれていないことが課題となっています。

世界的に見ると中絶件数は年間4千500万件を超えていて、そのうちの約2千万件は安全でない方法での中絶です。

このように世界の課題も日本の課題も共通しています。

解決の鍵は、「すべての人々に避妊へのアクセスを保証できる社会」をつくることに尽きるのではないでしょうか。

望まない妊娠をし、中絶に至った女性や少女の心境に思いをはせると、予防できたものを、避妊へのアクセスがないばかりにできなかったとしたら、それは、個人の問題ではなく、すでに社会の責任であると考えます。

世界的にみれば、確実な避妊方法がすでに選択できる時代となっています。

しかし、避妊手段にたどり着けない、あるいは、そこにたどり着くまでに、多くの社会的文化的、経済的障害があるというのであれば、それを徹底的に取り除くことが、私たちの義務であり、社会の責務であると考えます。


(2014年9月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2014-09-04 14:31


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