ジョイセフ事務局長 鈴木良一によるコラム
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世界人口の推移を振り返る
西暦元年の世界人口推計値は2億~4億人で、その後、長い期間をかけて19世紀初頭の1807年に世界人口は10億人に到達しました。

その後は下表の通り人口が急増。20世紀が「人口爆発の世紀」と称されたことはうなづけます。

現在でも、世界人口は10数年ごとに約10億人ずつ増加していることは注目に値します。
はたして、世界人口はどこまで増加するのでしょうか。

現時点の国連推計では、2083年に100億人を超えると予測されています。

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世界人口会議とジョイセフの基本姿勢

世界の人口推移と合わせて、ほぼ10年ごと開催されてきた、世界人口会議の経緯も見てみましょう。

それまで、専門家による人口会議はあったものの、世界人口が40億人になった年、1974年に初めての政府間会議である世界人口会議(ルーマニア・ブカレスト)が開催されました。そこでは、人口の急増に起因する人口問題が各国政府によって初めて認識され「世界人口行動計画」が策定された人類の歴史上、画期的な会議でした。

その後1984年の国際人口会議(メキシコ・メキシコ市)では人口増加抑制プログラムへの認識が高まり、家族計画を推進することに積極的な国々が増えました。その10年後に開かれた1994年の国際人口開発会議(ICPD、エジプト・カイロ)では、リプロダクティブ・ヘルスや女性の視点が議論され、新たな行動計画が採択されました。人口問題解決のアプローチが、人口というマクロの視点から、一人ひとりというミクロの視点へと「パラダイムシフト」が起こったと言われています。

その後、2000年にはミレニアム開発目標(MDGs)が策定され、2007年にはMDGs No.5 (妊産婦の健康の改善)に「リプロダクティブ・ヘルスの普遍的アクセス」が新たなターゲット(5b)として加えられました。

世界の人口問題の動きと並行して、常に住民や女性、またコミュニティの視点で社会を見ることから発想し、行動してきたジョイセフの基本姿勢は発足以来変わりません。
人口問題を国際的なマクロの視点で見つめながら、活動としては地域のニーズに合わせて、一人ひとりの視点からのサービスの提供を考えるミクロの視点からのアプローチを行うことに尽きると考えます。

ジョイセフでは、今後も「マクロを見つめミクロからのアプローチ」を提唱し、常に女性や若者の一人ひとりの視点に立ってさまざまなリプロダクティブ・ヘルス/ライツ推進の活動を推進してまいります。

(2014年8月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2014-07-10 13:41 | ニュース
思春期保健ワークショップ-若者の未来を考える
5月26日から6月13日にかけてJICAの委託を受けてアフリカおよび南太平洋地域の政府・NGOの代表を迎えて「思春期保健ワークショップ」を開催しました。

思春期(10歳~19歳の年齢層)は、今、世界的な人口・保健分野の最も重要な課題の対象と言っても過言ではないと思います。日本においても、思春期の若者に関する諸問題は重要ですが、特にアフリカ諸国の場合は、妊娠・出産、HIV/AIDSを含む性感染症等が重なる年齢層であり、喫緊の課題となっています。

最新版の『世界人口白書―母親になる少女:思春期の妊娠問題に取り組む』(2013年)はこのように言っています。

「少女が妊娠すると、その生活は現在も将来も劇的に変わります。しかもその変化がよい方向へ向かうことは滅多にありません。学校教育はその時点で終わってしまうかもしれず、仕事の見通しはなくなり、貧しさは一段と増し、社会からは排除され、家族への従属度合いが増えていくかもしれません」、「それでも、なお、開発途上国では毎日2万人に上る18歳未満の少女が出産している」「毎年、途上国全体で730万人の18歳未満の少女が出産している」「開発途上国の若い女性の約19%が、18歳になる前に妊娠しています」「世界の思春期における出産の95%は開発途上国で起きている」など。また、「バングラデシュ、チャド、ギニア、マリ、モザンビーク、ニジェールなどでは、少女の10人に一人は15歳になる前に子どもを生んでいる」とも報告されています。

今回のワークショップの参加国はこのような背景を持つ国々からで、アフリカのレソト、スワジランド、ウガンダ、そして南太平洋のナウルの4カ国9名の思春期保健分野の活動において今後それぞれリーダーシップを取っていくべき政府・NGO(非政府組織)から平均年齢30代のリーダーたち(男性4人、女性5人)のチームでした。

日本にとっても、この分野の取り組みは、社会的・文化的な諸々の要素が絡み合って、常に暗中模索の状態です。その意味からも同じ土俵での経験交流となり、臨場感のあるディスカッションが連日行われました。どの国も抱える問題の本質は、大きな差異がないとも感じました。

今回のワークショップでは、以下の3点について特に配慮しました。
  1. 若者の発達段階に応じたヘルスプロモーション・アプローチの重要性

  2. ユース・フレンドリー(若者に優しい、若者のニーズに合った)サービスの重要性

  3. 思春期保健推進のためのよりより環境作り(若者と接点のある大人たちによるネットワーキングや親へのアプローチ)の重要性、など。


発達段階に応じて「他者を尊重し、自分の体と心を大切にすること」を、また、地域ぐるみで若者を支援することを、あらゆる手法を使って改革していくことが求められると意気盛んでした。

今回このワークショップの参加者は、静岡県での視察から得た好事例をふまえて、各国がそれぞれの国や地域の実情に合わせて現実的な行動計画を策定しました。静岡県での取り組みは、保健行政と教育機関の見事な連携協力や地域のNPO等の斬新で実践的なプログラムから学ぶところが多かったと聞くことができました。

2014年が国際人口開発会議(ICPD)から20年目、来年の2015年がMDGs(ミレニアム開発目標)の達成期限です。ポスト2015の新たな開発枠組みが国連を中心に検討されている今日、保健や権利、教育や雇用などあらゆる角度からの若者への「投資」が必要であり、若者が正しい情報と若者に優しいサービスを受けることができるように、さらなる努力とプログラムに対する予算化を、国連・国際機関、各国政府は惜しんではならないと考えます。   若者の未来はその国の未来であると思うからです。

(2014年7月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2014-07-01 19:43 | ニュース


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