ジョイセフ事務局長 鈴木良一によるコラム
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平和を希求する強い心
2012年も早半ばですが、今年は、多くの国々の首長や国政の選挙の年にあたっています。

指導者の交代は、すでに昨年末から始まっています。2011年12月には北朝鮮の総書記の急死による交代がありました。1月に入ってからは台湾の総統が再選され、4月にはミャンマーの国会議員補欠選挙でアウンサンスーチー氏が当選、ミャンマーの民主化の促進にとって明るいニュースになっています。同じく4月にはロシアの大統領選挙がありプーチン氏が返り咲きました。5月にはフランスの大統領選挙で新大統領が当選しました。今後は、中国の指導者の交代が10月、アメリカの大統領選挙が11月、そして、韓国の大統領選挙が12月と政治日程は今後も目白押しです。日本の政治状況も相変わらず落ち着かず、過去5年間で6人の首相が登場していますが、今年もまだ不安定な情況が続いています。

ギリシャの国会議員選挙の再選挙が行われました。ギリシャ問題からスペイン問題へとユーロ圏全体の大きな問題は依然と続いています。ユーロ圏、シリアやイランをはじめとする中東地域での不安定な状態が続き、依然として世界は政治的にも経済的にも不安含みで、「先の見えないこと」があまりにも多いのも事実です。

一方では、7月28日~8月12日にかけて、ロンドンに世界のアスリートが国境を越えて集まり、平和の祭典であるオリンピックが行われます。世界の国々の若者が国境を越えてこの平和の祭典に集まります。

2012年が政治的にも経済的にも、地球規模でよりよい方向に向かう年であってほしいと願うのは私だけではないでしょう。

そして、今こそ、各国のリーダーの「平和を希求する」強い心と、政治力や外交力が試されるところです。世界のリーダーに心から期待します。 

                              
(2012年6月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2012-06-28 13:59
「リオ+20」:リプロダクティブヘルス(RH)や女性の視点を踏まえた議論を。
6月20日から22日までの3日間、ブラジルのリオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」(地球サミット)が開催されます。ブラジル政府が1992年の地球サミットから20周年を迎える機会に、同会議のフォローアップ会合を行うことを提案し開催されるものです。「リオ+20」には、各国から首脳レベルが出席し議論が行われることになっています。主要テーマは、(ア)「持続可能な開発及び貧困根絶の文脈におけるグリーン経済」及び(イ)「持続可能な開発のための制度的枠組み」となっています。「リオ+20」の成果文書は「焦点を絞った政治的文書」となるとのことです。

私たちジョイセフは、「リオ+20」において、マクロの視点の環境問題や持続可能な開発に関する議論の中に、一人ひとりの健康や権利について、女性の視点やミクロの視点からの議論がされることを心から望んでいます。

70億人の世界人口を構成している70億の一人ひとりの視点を、各国代表や政府関係者には持ってもらい、「国益」をベースにした議論に終始するのでなく、地球にすむ人間としての視点を考慮してもらいたいと考えます。開発の中に女性の視点が必須であることは議論の余地はないとも考えます。

「リオ+20」の持続可能な開発は、今後のポストMDGs(2015年以降)の開発アジェンダの議論の柱の一つになるため、「リオ+20」での合意文書はリプロダクティブヘルスや女性の健康と権利の今後の方向性に大きな影響を与えます。国際人口開発会議や世界女性会議の精神や行動計画/行動綱領を踏まえた議論を心から望むものです。


(2012年6月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2012-06-21 14:27 | ニュース
家族計画サミット
2012年は、家族計画「復権」の年になりそうです。

現在、2億1500万人の女性が、家族計画サービスへのアクセスが満たされていません(UNFPA報告)。そのためにも、再び、家族計画サービス強化に焦点が当たることは、まことに意義深いことであると思います。

来る7月11日の「世界人口デー」に、英国のロンドンで「家族計画サミット」が、英国政府、ゲイツ財団等の共催で開かれることになっています。このサミットでは、2020年までに新規に1億2000万人の女性が、命を救う家族計画のサービス・情報を受けられるようにするためのコミットメントを各関係方面(ステークホルダー)から求めます。世界中が今、このサミットに注目しています。

5月に、世界保健機関、ユニセフ、国連人口基金および世界銀行の共同で「妊産婦死亡の動向:1990~2010」が発表されました。その中でも、UNFPAは、妊産婦死亡の3分の1が、家族計画サービスによって予防できることを訴えています。望まない妊娠や望まない時期の妊娠を家族計画によって予防することは、中絶を防ぐことにもなります。

また、MDGs目標のひとつである「MDG5: 妊産婦の健康の改善」を達成するには、安全で衛生的な分娩を確保するための助産技能を持った医療従事者の確保と緊急産科ケアの人材と施設の強化が必要であると同時に、一方では、予防的なアプローチ、具体的には家族計画の情報・サービスの提供といったことも重要な要素であることを忘れてはならないのです。

7月の「家族計画サミット」がこれら満たされないニーズ(Unmet Needs)を満たすことのできる、具体的なアクション、たとえば避妊薬(具)の配給量も含むリプロダクティブヘルスのサービスの確保、また、それらがどこでも入手可能であり、継続可能なことなどを強化するとともに、RH関連の人材の確保、人材の養成の充実などを進めるための強いリーダーシップをとって欲しいと望みます。

日本政府も関心を示しています。ジョイセフは、日本政府による家族計画分野へのコミットメント、具体的にはUNFPAとIPPFに継続的に拠出を行うことを大いに期待しています。NGOであるジョイセフも国内外でさらに「リプロダクティブヘルス・サービスへの普遍的アクセス」を推し進めてまいります。

2012年の国連人口基金(UNFPA)による、『世界人口白書』も、「家族計画と人権」がテーマになると事前発表されています。また、国際家族計画連盟(IPPF)の設立60周年の記念式典や会議が11月に南アフリカ共和国で開催されますが、その時にも、改めて家族計画を含むRHの普遍的アクセスにフォーカスが当たることを期待しています。

今後も、皆さまとこれらの一連の動きに大いに注目していきたいと思っています。

(2012年6月、東京)
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by joicfp_rio | 2012-06-14 17:10
「妊産婦死亡の動向:1990~2010」を読む
妊産婦死亡に関する最新データが5月に発表されました。
世界保健機関、ユニセフ、国連人口活動基金および世界銀行によって発表された「妊産婦死亡の動向:1990~2010(Trends in Maternal Mortality: 1990 to 2010)」です。

今回は、3つの視点からみた、いわゆる「ワースト国」を統計的にまとめてみました
(以下の3表は、全て私の責任で作表致しましたことを申し添えます)。

まず、表1は、以前もこのコーナーで紹介しましたが、妊産婦死亡率の高い10カ国です。
すべてサハラ以南のアフリカの国々となりました。かつて第1位であったアフガニスタンは、今回の報告では1400(2008年)から、460(2010年)に改善されています。

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表2は、妊産婦死亡数です。これらの上位10カ国を合計すると、世界の妊産婦死亡数287,000人の6割を超える数字となります。人口大国である、インドとナイジェリアが上位2カ国を占めていて、この2カ国のみで世界の妊産婦死亡数の33%(3人に1人)を超えてしまいます。

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表3は、「妊娠・出産により死亡する生涯リスク」を示したものです。
妊娠・出産時に命の危険をともなっている女性たちの実態を示す数字となっています。
最悪は、アフリカのチャドの女性で、妊産婦15人あたりに1人が命を落とす危険(リスク)にさらされています。こちらの国々も上位11カ国がサハラ以南の国々となりました。

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これらの数字の意味するところを考えていかなければならないと痛感しています。

(2012年6月、東京にて)
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by joicfp_rio | 2012-06-12 09:48
思春期保健分野での新たなチャレンジ:ワークショップを終えて
約1カ月にわたって実施してきた、平成24年度集団研修「思春期保健ワークショップ」が6月1日に終了しました。このワークショップは、ジョイセフが国際協力機構(JICA)の委託事業として実施している人材養成事業の一環で行われているものです。

私は、この日の総括討論、評価会、そして閉講式にジョイセフの代表として参加しました。アジア、アフリカ地域で思春期の若者の抱える課題の多さと複雑さ、ならびに取り組みの難しさなどを確認する一日となりました。
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今回のワークショップには、アジア・アフリカの9カ国13名、それぞれの国や地域の抱えた問題・課題に、一人ひとりが果敢に取り組んでいる様子を知ることができました。社会的・文化的また国によっては宗教的に、この年齢層への思春期教育や性と生殖に関する情報やサービスの提供が困難や障害の多いことが発表されました。
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それぞれの国の実情に合わせたアプローチが求められてはいますが、家族の了解や支援、地域社会のサポートなど、また保健セクターのほか教育関係者や機関からのバックアップを得るために乗り越える障壁は多数あり、大変挑戦的であると同時にやりがいのある仕事であるとの発表がありました。また、日本滞在中に、東京でのセッションのみならず、栃木県での思春期保健分野の多岐にわたる取り組みから多くを学んだとの報告もありました。
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私は、閉講式でのあいさつで、「皆さんは思春期保健分野でのそれぞれの国や地域でのパイオニアであり、チャレンジャー(挑戦者)です。皆さんの今日のご努力が思春期の若者の明日をさらに明るくすることになるのです」と、申し上げました。乳幼児でもなく母子保健の対象者でもない、10歳~19歳の思春期の人口は現在、世界で、18億人(WHO)で、世界人口(70億人)の4分の1を占める大きな人口グループとなっています。彼らに知る権利や自らの性と生殖に関する健康を含めた適切な情報やサービスの提供が求められています。
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その思春期保健の向上の第一線で日々尽力している政府・NGOからの参加者のこれからの取り組みをジョイセフとしてもバックアップしていきたいと思っています。
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(2012年6月、東京)
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by joicfp_rio | 2012-06-08 13:49


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