ジョイセフ事務局長 鈴木良一によるコラム
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世界の妊産婦死亡数が減少、 しかし、なお世界では28万7000人が毎年死亡している
2012年5月16日のユニセフ(UNICEF)、国連人口基金(UNFPA)、世界保健機関(WHO)、世界銀行(WB)が共同で発表した「妊産婦死亡の動向:1990~2010(Trends in Maternal Mortality:1990-2010)」報告書は、世界の妊産婦死亡率が改善傾向にあり、その進展を認めながらも、ミレニアム開発目標の達成についてはさらなる国際社会の努力が必要であると訴えています。

この報告書によると、世界の妊産婦死亡数は、1990年時の54万3000人から、47%減少し、2010年現在28万7000人 まで低下したと推計。着実に成果を上げているとし、地域的な分析では、世界のほとんどの地域で進展が見られるが、アフリカのサハラ以南の多く国々に関しては、1990年時の妊産婦死亡を「2015年までに75%削減する」という、ミレニアム開発目標5の達成は難しいとしています。

いまだに、ほぼ2分ごとに1人の女性が、世界のどこかで、妊娠や出産に関する原因で命を落としている現実は解決できていないのです。一方では、それらの命は救うことのできた命であったとも分析しています。大きな死因は4つあります。それらは、産後の出血、感染症、妊娠高血圧症、そして、安全でない中絶です。99%の妊産婦死亡が起こっている開発途上国での、①家族計画サービスへのアクセスのさらなる向上、②助産技能をもった保健ワーカーへの投資、③緊急産科ケアへのアクセスの保障などがあれば「救える」命である、と明言しています。

今回の報告書では、2010年に高い妊産婦死亡数を示している40カ国のうち、36カ国がアフリカのサハラ以南の国々でした。また上位の2カ国だけで、妊産婦死亡の3分の1を占めています。その2カ国は、インドとナイジェリアで、インドが約20%で5万6000人、ナイジェリアが14%で4万人でした。

東アジア地域で、妊産婦死亡率削減で良好な成果を収めている国々においは、避妊実行率の平均が84%で、サハラ以南のアフリカ諸国では22%と、依然として低い状況でした。「家族計画へのアクセス」がいかに重要であるかを示しています。現在世界中で2億1500万人の女性が家族計画サービスにアクセスできないという「満たされないニーズ(Unmet Needs)」があり、これを満たすことは、すなわち、「人権」を守ることでもあると、国連人口基金は表明しています。

2010年の世界の妊産婦死亡率の平均は出生10万対210でしたが、サハラ以南ではそれが500と高い数値を示しています。

妊産婦死亡率(出生10万対)の大きい上位10カ国は以下の通りで、すべてがサハラ以南のアフリカ諸国でした。

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「妊産婦の命と女性の命を救う」私たちのチャレンジは、これからも続きます。
落とさなくてもよい命は、あらゆる力をもって、救い、守ることが、私たちの使命だと思っています。


(2012年5月、東京)


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by joicfp_rio | 2012-05-22 15:56
世界中のすべてのお母さんに感謝のメッセージを贈ります
ジョイセフでは、毎年の「母の日」をお祝いし、世界中のすべてのお母さんに感謝の気持ちをお伝えしています。

しかし、ジョイセフは「毎日が母の日」であると思っています。「母の日」は年に一度のイベントではなく、お母さんへの感謝の気持ちは、一年を通して毎日持ち続けたいと強く思っています。

ジョイセフは、「途上国の妊産婦と女性を守る」というミッションのもとで母子保健を含むリプロダクティブヘルス向上のための活動を展開しています。しかし、現実の開発途上国の妊産婦や女性をめぐる状況は、依然とし課題が山積しています。高い妊産婦死亡率や望まない妊娠を防ぐために必要な家族計画(避妊)の情報やサービスがいまだに満たされていない状況があります。

世界で妊娠や出産が原因で1日におよそ1000人の女性が命を落としていて、年間にすると35万8000人です。そして、これらの死亡の99%が開発途上国で起こっていますが、多くが助けられる命であったことが報告されています。

私たちジョイセフは、世界のすべての妊産婦の命が守られ、健康であることを切望しています。
妊娠や出産が原因で死に至るようなことがあってはならないと強く思います。ジョイセフは、もてる力を世界の女性の命と健康を守るために注いでいきたいと活動を続けています。すべての妊娠が望まれたものであり、すべての出産が安全であり、すべての子どもが健康に育てられる環境をつくることを目指します。

母の日に、お母さんへの感謝のメッセージを贈るとともに、ジョイセフとともに、妊産婦や女性のためにご支援ご協力いただいている多くの皆さまに、感謝の気持ちをお伝えします。まだまだ私たちのミッションは終わっていません、引き続きご協力をお願いいたします。


2012年母の日
ジョイセフ 事務局長
鈴木良一


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by joicfp_rio | 2012-05-11 16:36
母子健康手帳70周年
 今から70年前の昭和17年(1942年)7月13日に、現在の母子健康手帳の前身である「妊産婦手帳」制度がスタートしました。今年はその記念すべき70周年にあたります。

戦時下の社会情勢のもとではありましたが、日本の母子保健推進にとって不可欠の制度というべきものであったと思います。妊産婦が、常に自らの妊娠、出産、子どもの成長についての保健記録を、どこに移動しようとも、手元に持つという制度(システム)は、まさに画期的であったと考えます。この手帳制度は、今日に至るまで70年にわたって日本の母子保健向上におおいに寄与したものであることはいうまでもありません。

「妊産婦手帳」は、戦後「児童福祉法」によって、昭和23年(1948年)に「母子手帳」に改称され、妊産婦だけでなく乳幼児の保健指導も含むべく内容が充実され、昭和40年(1965年)に、「母子保健法」(施行1966年)のもとで、現在の「母子健康手帳」へとさらに充実しました。その後も、母子保健法改訂とともに、手帳も常に改訂されており、ますますこの制度は進化しています。

日本の母子保健事業を考える時に、また、日本の母子保健を支えてきたパイオニアの人々を振り返る時に、今年は、70年前に発足した妊産婦手帳制度の意義を考える節目の年であると思います。
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by joicfp_rio | 2012-05-11 10:11


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